小川欣二-1 伊羅保茶碗 正面

小川欣二01_01
 小川欣二(1926-)の伊羅保茶碗です。絵が一箇所のみなので、そこを正面としています。この向きで窯印はほぼ裏側5時半くらいの所に来ます。

 伊羅保茶碗というのは、本来は高麗茶碗の一種とされ、砂混じりの肌の手触りがいらいら(ざらざら)している所から、そのように呼ばれているそうなのですが、現代ではそれに似たような作風の物も「伊羅保」と呼ばれる場合があるようです。この茶碗も共箱に「伊羅保茶碗」と書かれています。ただ、小川欣二は京都の作家なので、ここのカテゴリーでは「楽・京」に入れました。

 この茶碗では、砂混じりの茶色い土に、全体的に刷毛目を強調した黄色の釉薬がかかっています。そこに笹か草か良く分かりませんが絵が描かれ、全体的に渋派手な景色となっています。フォルムはカチッと整形されていて、且つ焼成温度が高いのか、手触りも随分と硬く、非常に男性的で力強い感じがします。

 私は元々自然な乱れがフォルムにも現れている茶碗が好きで、これを買った後も「う~ん、こういうカチッとした形の茶碗って、どうなんだろう?」と思っていたのですが、何度か使っている内に次第に馴染んで来て、こういう茶碗も悪くないなと思うようになりました。この茶碗は、そういう後からジワジワくるタイプです。

つづく

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