

佐々木昭楽の「春朝」写しの高台と窯印です。高台の写真では、茶碗正面を上にしています。
高台は、茶碗の直径の割りには少し大きめですが、高さはそんなにありません。形はほぼ真円です。高台内に、兜巾を押し潰すように窯印が押されています。
この下からの眺めでは、陶土の茶色がより多く見えますが、土見せになっている訳ではなく、釉薬は畳付も含めて全体を覆っています。ですから、地の土を感じさせるのは、薄っすらと見える茶色だけです。その他のテクスチャーの様子は、側面や見込みなどと全く同じです。変化の面白味はないですが、落ち着きのある全体像だとは言えます。
窯印は「昭楽」だと思われますが、釉薬で潰されてしまって、上下も分からないほど全く判読出来ません。
で、この「昭楽」なのですが、良く分からない事があります。窯の名前は「成雲軒昭楽窯」で、当主・佐々木昭楽の個人作に「昭楽」印が押されます。他方、窯の職人による工房作品には「松楽」印が押されます。今回の「春朝」写しは三代・昭楽(1944-)の作品ですが、その前の当主は二代・「松楽」で、初代は吉之介という事になっています。また、当代は四代・「昭楽」になっています。これらの情報は、窯のHP等から拾ってきたのですが、当該HPには「帰来窯」というページがあり、その窯の当主は二代・佐々木虚室(1964-)で、「帰来窯・昭楽窯主」となっています。しかも、二代・佐々木虚室の陶歴には「父佐々木虚室(輝夫)のもと技術習得に励む」という記述があります。また、「成雲軒昭楽窯」の窯元外観写真は、「帰来窯」の窯元外観写真と同じで、その写真には「帰来窯」と書かれた暖簾が写っています。
・・・う~ん、そうなると、「成雲軒昭楽窯」=「帰来窯」、且つ四代・昭楽=二代・虚室で、二代・虚室は三代・昭楽の実子ではないという事なのでしょうか。でも、初代・虚室=三代・昭楽(2010年沒)(従って二代・虚室は三代・昭楽の実子)だという情報もネット上にはあったりして、非常に分かり難い状況です。(そもそも、三代・昭楽が2010年に没していたなんて、そんな情報知りませんでした。)
まぁ、ネット上の情報なんて、高が知れてるという事なんでしょう。(笑)
そんなこんなで、周辺情報は分かり難いですが、物は落ち着きのある良い茶碗です。
おわり
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