西岡小十-3 絵唐津 正面

　西岡小十（1917-2006）の絵唐津です。西岡小十の唐津は、これで三つ目です。写真では、絵の描かれている部分を正面としています。ここを正面とすると、掻き銘は背面側に来ます。

　荒々しく残された轆轤目が美しく、また全体的な造形のラインがふっくらとしていますから、割りと晩年に近い頃の作品ではないかと思います。こういう少しふっくらとした腰の辺りのラインと、荒く残された轆轤目が、西岡小十の晩年の作品の良さだと感じます。

　正面の鉄絵は何を描いたものなのか分かりません。このように意味が分からない絵は、むしろ自然な不規則性や偶然性があって、作者の作為が見える絵よりも私は好きです。
　また、唐津らしいザラついた釉調、不規則に散らばる黒点など、窯の中の炎によって偶然作られた景色に癒しと美しさがあります。

つづく