岡田裕-1 萩茶碗 正面

岡田裕01_01

 萩焼岡田窯の八代目・岡田裕(1946-)の萩茶碗です。写真では、釉景に最も動きのある部分を正面としています。ここを正面とすると、高台脇の窯印は背面側に来ます。

 岡田窯は江戸時代以来200年の歴史があるとの事で、萩藩の御用窯ではなかったと思われますが、歴史のある窯元です。岡田裕は、そこの八代目となるそうです。そして、この茶碗に同梱されていたしおりには、平成9年(1997)の受賞歴までの記載がありますから、この茶碗はその後の1~2年以内に焼かれたものであると考えられます。本人の年齢で言えば50代前半頃という事になりますから、今から見ればかなり若い頃の作品という事になります。

 ボワンとしたふくよかな椀形のシルエットに、口縁は少し端反りになっています。こういう形は熊川形(こもがいなり)と呼ぶとも聞きますが、この茶碗の場合は「高台が大きく幅と高さがある」という熊川形のもう一つの特徴がないので、熊川形と分類するのは少し苦しいかも知れません。

 写真では茶色の暖色系が強く出ていますが、光の加減によっては青灰色の寒色系に見える事もあり、なかなか微妙な発色になっています。また、白い釉薬は良く溶けて薄く流れていますが、砂粒が浮き出ていたり、縮れがあったりして、のっぺりし過ぎない良い景色となっています。細かい貫入もイイ感じです。

つづく

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