


塚本治彦の黄瀬戸茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(掻き銘側)、三枚目が右側面です。
背面には、正面よりも小さめに「×」の線彫りが入っています。正面にメインの線彫りが入り、背面にはサブの線彫りが入るというスタイルは、一般的な黄瀬戸の文法ではありますが、彫られている物が草や花ではなく、何かのキズのような「×」であるのは珍しい点です。
左右側面は線彫りがないだけで、基本的な景色は正面や背面と同じです。横に走る段差に自然釉らしきものが溜っていて、独特な景色になっています。腰のすぐ上辺りに、出っ張った胴紐のような部分があるのですが、「胴紐」と呼べるほど明確なものではなく、全体の成型時に偶然出来た凸部を適当に残したというような風情です。こういった造形も、この黄瀬戸を個性的なものにしています。
つづく