加藤芳比古-2 瀬戸黒茶碗 見込み

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 加藤芳比古の瀬戸黒茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。

 上から見るこの茶碗の形は、乱れのある真円で、口縁の厚みにも乱れがあります。口縁の5時位置辺りから8時位置辺りにかけて外側に微妙に傾斜がついており、この辺に口を付けて飲むのが一番快適です。

 見込みの底は、同心円 or 渦巻き状に削られていて、その中心辺りが何となく茶溜りになっています。また、陶土に含まれる砂粒によるものと思われる凸部が幾つもあり、そこの釉薬が剥げていたりして、非常に荒々しい見込みの景色になっています。この辺の荒々しさは外側の箆削りによる荒々しさと良くマッチしていて、統一感があります。

つづく

加藤芳比古-2 瀬戸黒茶碗 背面と両側面

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 加藤芳比古の瀬戸黒茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(掻き銘側)、三枚目が右側面です。

 どの面も正面と同じような景色です。艶の強い真っ黒な釉景、ランダムに入った箆削り跡が荒々しいゴツゴツした仕上げ・・・。山中にある巨岩や岩壁を想起させる景色です。私は学生時代に登山部に所属し、各地の山々に登っていたのですが、その中で見た来た景色が、この茶碗の中に再現されているように感じられ、とても心に沁みて来ます。
 写真や絵で自然の情景を写し取るという方法もありますが、この茶碗にある造形も、また別の自然の写し取り方なのだと思います。

つづく

加藤芳比古-2 瀬戸黒茶碗 正面

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 美濃の作家・加藤芳比古(1946-)の瀬戸黒茶碗です。加藤芳比古の茶碗を取り上げるのは、これで二つ目です。写真では、高台脇の掻き銘を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。

 器表面の艶が強く、周囲の景色を反射してしまって、結果的に赤みがかった色に写ってしまっていますが、実際の色彩は見事に真っ黒です。シルエットは正方形に近い半筒で、轆轤目は見えず、箆削りによるゴツゴツした不規則な仕上がりが大変力強い景色を作り出しています。山中の岩石を思わせるこうした造形は、私の好物です。(笑)

 ただ、平面が各所にあって、且つ艶が強い黒茶碗を写真に収めようとすると、意外に苦労するというのが、今回の撮影で良く分かりました。昼間の自然光で撮影しようとすると、周囲も非常に明るいので、周囲の情景が露骨に映り込み、黒い茶碗が色彩豊かな茶碗に写ってしまいます。それで、今回は夜の室内で、人工の明かりを控えめに使い、カメラの感度を上げ気味&露光時間長めで撮ってみました。更に、撮影後に写真現像加工ソフトでホワイトバランス等を結構調整しています。それでも、少し赤い色が残ってしまいました。これが今の私の機材と技術の限界です。orz もっと実物に忠実な写真にするには、撮影ボックスとかが必要かも知れません。

 このように撮影や現像に苦労した茶碗ではありますが、実際に手にしてみると、ゴツゴツした造形にヌルッとした艶のある表面が合わさって、独特な感触が楽しめます。

つづく