浜田純理-3 黄瀬戸 高台と掻き銘

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 浜田純理の黄瀬戸茶碗の高台と掻き銘です。写真では、茶碗正面を上にしています。

 高台は乱れの少ない真円で、直径はそれ程大きくなく、高さは低くなっています。高台内は割りとペッタンコで、兜巾は殆ど分かりません。また、他の部分と同じように、高台脇や高台内のコゲの出方が味わい深い景色となっています。

 で、この茶碗では畳付きにも高台内にも目跡がなく、全面に釉薬がかかっています。となると、そこは焼成時に浮いていたという事になります。では、いったい何処を支えとして焼成時に置かれていたのでしょう。底全体を眺めると、高台脇の四か所に、釉薬がかかっておらず、丸く茶色の土が見えている部分がある事が分かります。多分、そこに支えを当てて置いていたのだと思われます。黄瀬戸では畳付きにも施釉するために、高台内に円筒状の支えを当てて焼き、その跡が円状の目跡となって高台内に残る場合が多いのですが、この茶碗のように高台脇に支えを入れるパターンは初めて見ます。大変興味深い特徴です。

 掻き銘は「ツ」だと思われます。いつもの浜田純理の掻き銘です。彫られている場所は正面向かって左の高台脇ですから、この辺は一般的な抹茶茶碗のスタイルを踏襲しています。

 という事で、浜田純理の黄瀬戸茶碗でした。浜田純理らしいコゲの景色が味わい深い、良い茶碗だと思います。

おわり

浜田純理-3 黄瀬戸 見込み

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 浜田純理の黄瀬戸茶碗の見込みです。写真では、茶碗正面を下にしています。

 上から見たシルエットは、少々乱れのある真円です。口縁は均一で薄く、何処に口を付けても快適にお茶が飲めます。

 見込みの底には茶溜りがあるのですが、浅く何となくしか整形されていないので、この写真で見ると殆ど分かりません。また、底にはコゲがないので、やや退屈な景色です。ただ、この写真には写っていませんが、胴辺りの内壁にはコゲや抜けタンパン、釉薬の流れがあって、実際に使っている最中は意外に楽しめます。まあ、底の景色というのは、使っている最中は見えませんし、使い終わった後は茶溜りに残った抹茶が景色を作り出すので、素でこういう景色の底であっても、実際そんなに気になりません。

つづく

浜田純理-3 黄瀬戸 背面と両側面

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 浜田純理の黄瀬戸茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(掻き銘側)、三枚目が右側面です。

 正面よりも控えめな線彫り文が背面に入り、両側面には特に何もないというスタイルは、黄瀬戸のスタンダードです。また、各方向から見るシルエットや三本の胴紐に特に大きな乱れがないのも、黄瀬戸では普通だと思います。ただやはり各所に現れたコゲ=酸化した鉄分が茶色く表れた不規則な模様が、この茶碗を味わい深いものにしています。浜田純理の黄瀬戸は、このコゲの出方が魅力です。

 その他、砂粒が浮き出た油揚げ肌や、意外にザクザクした土の感じが釉薬の上からでも分かるディティールなど、自然な不規則性による美しさ・素朴さが良い味わいを醸し出していると思います。

つづく