佐々木昭楽-3 加賀光悦うつし赤茶碗 背面と両側面

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 三代・佐々木昭楽の「加賀光悦うつし赤茶碗」を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面、三枚目が右側面です。

 各面ともに、正面程ではありませんが、赤と白、黒と黄色が適度に混ざり、華やかな色彩となっています。また、角ばったシルエットに、横と縦に入る削り跡というパターンは正面と同じですが、それぞれの面での入り方が違うので、各面それぞれに個性があります。茶碗をグルグルと回しながら、各面の趣を眺めるのも楽しいです。

 それと、このブログ上の写真では分かり難いですが、かかっている透明釉に細かい泡が含まれている部分があって、そこは少し白っぽく見えています。茶碗を手にしてマジマジと眺めていると、その泡による景色も、独特の味わいを生み出しています。

つづく

佐々木昭楽-3 加賀光悦うつし赤茶碗 正面

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 三代・佐々木昭楽(1944-)の「加賀光悦うつし赤茶碗」です。写真では、色彩が最も派手に出ている所を正面としています。窯印は高台内中央にあります。

 この茶碗は佐々木「昭楽」作の物としては三つ目の紹介という事になるのですが、未だに「昭楽」と「松楽」の関係とか、何代目が誰で、血縁関係がどうとか、本人作と工房作はどう見分けるのか等々、分からない事が多いです。面倒なので、もう調べるのを諦めてたりしますし。(笑) でも、この茶碗に同梱されていたしおりには「三代 昭楽」の記載がありますし、中古とは言え、本人作とは思えないような低価格だったので、まぁ、そういう茶碗です。私としては、ちょっとイイ感じの赤楽茶碗が欲しくなって購入しました。

 本阿弥光悦が作ったオリジナルの「加賀光悦」と見比べて、どれくらい再現されているのかを調べてみたりもしましたが、そもそも写し物の茶碗というのは、再現性を云々するようなものでもないような気がして、最近はこの写しの茶碗そのものを楽しむようにしています。

 楽茶碗では多くない角ばったシルエットに、横に入った箆による削り跡と縦に入った細い溝削りが組み合わさり、独特の雰囲気を醸し出しています。また、赤と白、それに黒と黄色っぽく発色した部分が混在し、かなり華やかな色合いです。角ばったシルエットは男性的に感じられますが、華やかな色合いは女性的でもあります。大変に興味深く、また味わい深い茶碗です。

つづく

番浦史郎-1 粉引茶碗 高台と掻き銘

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 番浦史郎の粉引茶碗の高台と掻き銘です。高台の写真では、茶碗正面を上にしています。

 高台はほぼ真円ですが、ここにも殆ど小石と呼べるくらい大きな石英の砂粒があって、少し爆ぜています。また、高台の削り出し方も少々荒々しくなっていて、それも力強い高台の景色を演出しています。

 高台脇や高台内にも土見せはなく、全体的に釉薬がかかっています。また兜巾は控えめです。こうした作りだと、普通は柔らかい景色になりがちだと思うのですが、この茶碗では荒々しい雰囲気を醸し出せていて見事だと思います。

 掻き銘は「史」です。もしかしたら掻き銘ではなく窯印なのかも知れませんが、腰の湾曲した部分に入っているので、平面部分に押される事が多い窯印ではなく、手で書き入れる掻き銘だと判断しました。実際どうなのかは良く分かりません。

 という事で、番浦史郎の粉引茶碗でした。薄手の繊細な作りの中に石爆ぜや亀裂などの力強い要素が加わり、独特の個性のある美しい茶碗です。

おわり