浜本洋好ー2 斑唐津 背面と両側面

浜本洋好02_02
浜本洋好02_03
浜本洋好02_04
 浜本洋好の斑唐津を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(搔き銘側)、三枚目が右側面です。

 背面の釉景が、この茶碗で一番「斑」唐津っぽいでしょうか。粘度の低い釉薬が細く流れて薄くなり、陶土の凹凸が見えて来ています。また、小さな気泡も、この面に一番多くあります。左と右の側面は、正面と同じような感じで、ここも将来に期待でしょうか。(笑)

 乱れの少ない碗形のシルエットに、乱れのある轆轤目が乗っているという姿は、各方向から見ても同じなのですが、良く見ると全体的に少し歪み・傾きがあって、それは右側面の写真に良く表れています。こういう何となく整わない姿というのが、量産される工業製品にはない手工芸品の味わいであり、美しさの一つの源だと思います。

つづく

浜本洋好ー2 斑唐津 正面

浜本洋好02_01
 唐津市にある三里窯の浜本洋好(1938-)による斑唐津の茶碗です。浜本洋好の茶碗を取り上げるのは二つ目です。写真では、高台脇の搔き銘を向かって左90°の位置に持って来て、この向きを正面としています。

 この茶碗の場合、藁灰釉による斑模様が殆ど見られず、且つ鉄分による黒い斑点も出ていないので、「斑」唐津らしさが余りありません。斑模様は、使い込んで釉薬が摩耗してくると出てくるという話も聞きますから、将来に期待しましょう。(笑)

 浜本洋好の斑唐津に特有と言われる青みがかった藁灰釉の景色はこの茶碗では強く出ていませんが、それでも微妙に青みがかっていて独特の雰囲気があります。右下の高台脇辺りで、垂れかかって溜り、そのまま冷えて固まった釉薬の姿とか、土見せから窺える硬い筐体の唐津焼に柔らかい釉薬の景色が重なり、見事なコントラストを生んでいます。

 また、比較的乱れの少ない碗形のシルエットに、釉薬の上からでも分かる乱れた轆轤目が乗り、そのコントラストも面白い所です。

 硬い筐体に柔らかい釉景、整った全体のシルエットに乗る乱れた轆轤目。この柔と剛、或いは整と乱の混ざり合いのバランスが、この茶碗の美しさだと思います。

つづく

中野陶痴-4 絵唐津 高台と窯印

中野陶痴04_06
中野陶痴04_07
 中野陶痴の絵唐津の高台と窯印です。高台の写真では、茶碗正面を上にしています。

 この茶碗の場合は、下から見た景色に最も内容があります。高台の形は乱れのない真円ですし、兜巾もありませんが、高台内や高台脇は微妙にザクザクした表面に仕上げられていて、それに加えて施釉時の指跡や片側に寄った土見せが、景色を動きのあるものにしています。

 窯印は中野窯の「三階菱」です。例によって小さく控え目な窯印です。

 という事で、中野陶痴の絵唐津でした。主張が控え目で、茶碗を意識しない喫茶に適した器です。

おわり