


四代・高橋楽斎の信楽茶碗を各方向から写しています。上の写真が背面で、二枚目が正面向かって左側面(掻き銘側)、三枚目が右側面です。
背面では、黒い所と明るい茶色の所の左右が入れ替わるだけで、基本的には正面と同じような景色です。左側面では、多分灰がかかった為だと思われますが、斑に黒い模様が出ています。逆の右側面は、殆ど素焼きのような明るい土の色となっています。こういう場所によって焼き上がりが異なる茶碗というのは、眺めていて非常に面白いですよね。
それと興味深いのは、艶の出方も場所によって異なる事です。正面や背面にある程好く焼けた茶色の部分と、左側面にある黒い部分では、抑え気味ではありますが確かに艶があって、光を反射しています。それに対して、明るい茶色になっている右側面には艶がありません。艶のある部分は、高温で焼かれたために表面のガラス化が進んだのだろうと思います。逆に、艶のない部分は焼成温度が比較的低かったのでガラス化が進まず、艶のない仕上がりになったのでしょう。ですから、この茶碗は焼成時に左側面が熱源(薪による炎)に向いていて、それで高温で焼かれると共に灰もかかり、反対の右側面は影になって、温度もそこまで上がらなかったのだと思います。焼成時に茶碗が置かれた状況が想像出来る、面白い姿です。
つづく